「四十九日が済むまでは手をつけないほうがいい」と聞いて、そのまま何か月も止まってしまう方がいます。
結論から書くと、遺品整理を始める時期に決まりはありません。むしろ事情によっては、早く動いたほうがいい場合があります。
このページでは、いつ始めるのが自然なのか、逆に急ぐべきなのはどんなときかを整理しました。
「四十九日まで待つ」に決まりはない
四十九日を区切りにする方が多いのは事実です。親族が集まる機会でもあるので、そこで相談してから動くと話がまとまりやすくなります。
ただ、これは慣習であって決まりではありません。宗教的に「それまで触れてはいけない」という教えがあるわけでもないのです。
実際には、住まいの契約や相続の期限のほうが先に来ることが少なくありません。慣習を優先して期限を逃すほうが、あとで困ります。
始める時期の目安
| 時期 | 向いているケース |
|---|---|
| 葬儀の直後 | 賃貸で退去期限が迫っている/遠方から来ていて次に来られない |
| 四十九日のあと | 親族の合意を取りながら進めたい/持ち家で期限がない |
| 相続の方針が決まってから | 相続人が複数いる/不動産の分け方が未定 |
| 一周忌のころ | 気持ちの整理に時間がほしい/急ぐ事情がない |
どれが正解ということはありません。ご家族の事情に合うものを選んでください。
急いだほうがいい5つのケース
次に当てはまるなら、四十九日を待たずに動き出すことをおすすめします。
1. 賃貸住宅に住んでいた
これがいちばん切実です。退去するまで家賃は発生し続けます。契約によっては解約の申し入れから1か月分の家賃が必要になるので、放っておくと数十万円が消えていきます。
管理会社への連絡は早めにしておいてください。事情を伝えれば、退去日を相談できることもありました。
2. 相続放棄を検討している
ここは注意が要ります。相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3か月以内」です。
そして、遺品を処分したり形見分けをしたりすると、相続を承認したとみなされて放棄できなくなる可能性があります。借金の有無がはっきりしないうちは、遺品に手をつける前に弁護士や司法書士へ相談してください。
3. 準確定申告が必要
故人に事業所得や不動産所得があった場合、亡くなってから4か月以内に準確定申告をします。帳簿や領収書が家のどこにあるか分からないと、この期限に間に合いません。
書類の捜索だけでも先に始めておくと安心でしょう。
4. 空き家になる持ち家
誰も住まなくなった家は傷みが早く進みます。湿気とほこりで畳や家具が使えなくなり、結果として処分するものが増えました。
売却や賃貸を考えているなら、なおさら早いほうが有利になります。
5. 遠方に住んでいる
何度も帰省するのは体力も交通費も負担が大きくなります。まとまった日数を取れるタイミングがあるなら、そこに寄せてしまうほうが結果的に楽です。
手をつける前にやること
作業そのものより、順番のほうが大切でした。
- 相続人の全員に「いつ、どう進めるか」を伝える。事後報告がいちばんもめます
- 貴重品と書類を先に探す。通帳・印鑑・保険証券・年金手帳・不動産の権利証・借用書
- 借金の有無を確かめる。督促状やカードの明細が見つかったら、処分の前に専門家へ
- 形見分けしたいものを親族に聞く。あとから「あれはどこへ」となるのを防げます
この4つを飛ばして片付けを始めると、あとでやり直しになりかねません。
相続手続きとの順番
| 期限 | 手続き | 遺品整理との関係 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届 | — |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認 | 迷っているなら遺品に手をつけない |
| 4か月以内 | 準確定申告 | 帳簿・領収書を先に探す |
| 10か月以内 | 相続税の申告 | 財産の把握に遺品の確認が要る |
相続放棄の3か月だけは特に気をつけてください。この期限を過ぎてしまうと、あとから取り消すことはできません。
季節によって変わること
意外と語られませんが、いつ着手するかで作業の中身が変わります。
夏に空き家になった場合
冷蔵庫と生ゴミを最優先で処理してください。電気を止めたまま数週間放置すると、庫内が手のつけられない状態になります。この状態からの清掃は特殊清掃の扱いになり、費用が跳ね上がりました。
畳や布団も湿気を吸ってカビが出やすくなるため、窓を開けられる日を作れるかどうかで結果が変わってきます。
冬に空き家になった場合
寒冷地なら水道の凍結に注意が要ります。水抜きをせずに放置して配管が破裂すると、家財だけでなく建物の補修まで必要になりました。
雪の多い地域では、搬出のトラックが家の前に着けられるかどうかも日程を左右します。
時期選びでよくある失敗
相談を見ていて目につくのは、この3つでした。
- 全部を自分たちでやろうとして、半年たっても片付かない。結局は業者に頼むことになり、その間の家賃や管理費だけが出ていきます
- 退去期限の直前に駆け込んで、選べる業者が1社しか残っていない。相見積もりが取れず割高になりがちです
- 親族への連絡を後回しにして、作業後に「なぜ勝手に」と言われる。金額の問題ではなく、順番の問題でした
どれも、少し早く動いていれば避けられたものばかりです。
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業者に頼むなら、いつ連絡するか
見積もりは早めに取っておくと段取りが立てやすくなります。実際の作業日は先でもかまわないので、金額だけ先に把握しておく使い方ができました。
繁忙期は年度末(2月〜4月)と、お盆・年末です。この時期は希望日が取りにくく、料金も動きにくくなります。逆に言えば、閑散期を狙えば条件を引き出しやすいでしょう。
見積もりを依頼するときは、間取り・階数・エレベーターの有無・搬出経路の幅を伝えると、現地調査なしでも概算が出ます。
よくある質問
Q. 四十九日の前に遺品整理をしたら失礼ですか
宗教的に問題があるわけではありません。気になる場合は、貴重品と書類の捜索だけ先に済ませて、本格的な片付けは四十九日のあとにするという分け方もできます。
Q. 一人で始めてしまってもいいですか
相続人が他にもいるなら、先に伝えておいてください。金銭的な価値のあるものが出てきたときに、勝手に処分したと受け取られると関係がこじれます。連絡した記録を残しておくと安心です。
Q. どのくらいの日数がかかりますか
自分たちだけでやる場合、2DKで3〜5日、一戸建てなら1〜2週間みておくと現実的です。業者に頼めば2DKで半日から1日、一戸建てで1〜2日が目安になりました。
Q. 仏壇や神棚が残っている場合はどうしますか
仏壇は家具とは扱いが違い、閉眼供養(魂抜き)を先に済ませるのが一般的です。菩提寺の日程調整に1〜3週間かかることもあるため、遺品整理の予定を立てる段階で並行して連絡しておくと待ち時間が減ります。
Q. 貴重品が見つからないまま作業を進めても平気ですか
通帳や権利証が出てこないうちに大量処分を始めるのは避けたほうが無難でしょう。タンスの引き出しの裏、仏壇の引き出し、押し入れの天袋、本の間。この4か所は最後まで見落とされがちな場所になります。
Q. 遺言書が見つかったらどうしますか
封がされている自筆の遺言書は、その場で開けてはいけません。家庭裁判所で検認の手続きが要ります。開けてしまうと過料の対象になることがあるので、見つけたらそのまま保管してください。
まとめ
始める時期に正解はありませんが、判断の材料ははっきりしています。賃貸か持ち家か、相続放棄を検討しているか、遠方かどうか。この3つで決まると考えてよいでしょう。
迷って止まっている時間がいちばんもったいないので、まずは貴重品と書類を探すところから動き出してみてください。
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