仏壇じまいが決まったとき、多くの方が最後まで悩むのが「位牌をどうするか」という問題です。
位牌は故人との大切なつながりであり、ただ捨てるわけにはいかない。でも、ずっと手元に置き続けることもむずかしい。その板挟みで手が止まってしまう方は、本当に多いんです。
ここでは、位牌の主な選択肢である永代供養・手元供養・お焚き上げを比較して、それぞれの特徴と費用、選び方の目安をお伝えします。
その前に:位牌の種類を確認しましょう
選択肢の前に、手元にある位牌がどの種類かを見ておくと話がスムーズです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 白木位牌(しらきいはい) | 葬儀のときに使う仮の位牌。四十九日までの一時的なもの |
| 本位牌(ほんいはい) | 四十九日以降に祀る漆塗りなどの正式な位牌 |
| 繰出位牌(くりだしいはい) | 複数のご先祖の札板をまとめて納める位牌 |
白木位牌が残っている場合は、本来は四十九日で役目を終えているものですから、お焚き上げに出して差し支えありません。悩ましいのは本位牌と繰出位牌で、この記事で扱うのは主にこちらです。
なお浄土真宗のご家庭は少し事情が異なります。くわしくは後半の「浄土真宗の場合」で触れますね。
選択肢は大きく3つ
仏壇じまい後の位牌については、大きく3つの方向性があります。
- 永代供養に出す(お寺や霊園に供養を引き継いでもらう)
- 手元供養として自宅に置く
- お焚き上げで供養して手放す
どれが正解ということはなく、ご家庭の事情によって向き不向きが分かれるものです。順に見ていきましょう。
永代供養に出す
特徴
位牌をお寺や霊園に預け、代わりに供養を続けてもらう方法です。「自分の代で管理を終わりにしたい」「跡継ぎがいない」という場合に選ばれることが多く、近年は受け入れ先も増えてきました。
費用の目安
| 種類 | 費用目安 |
|---|---|
| 位牌の永代供養(合祀) | 3万〜10万円程度 |
| 位牌堂への個別安置 | 10万〜30万円以上 |
| 年間管理費(別途かかる場合) | 5千〜2万円程度 |
個別に安置する期間が長いほど費用は上がります。合祀(ごうし。ほかの方の位牌と一緒に供養する形式)を選ぶと費用を抑えられます。
申し込み前に確認しておきたいこと
ここで確認を怠ると、あとから「思っていたのと違う」となりがちです。契約の前に次の点を聞いておきましょう。
- 個別安置の期間は何年か。その後は合祀になるのか
- 年間管理費の有無と、支払いが止まった場合の扱い
- お参りはいつでもできるのか
- 宗派の制限はあるか(宗派不問のところも増えています)
受け入れ先の探し方
菩提寺があるなら、まずそちらに相談するのが第一候補です。位牌堂を持つお寺なら、そのまま預かってもらえる場合があります。
菩提寺がない場合は、「位牌 永代供養 地域名」で検索すると、受け入れ先の霊園や納骨堂が見つかります。仏壇店や葬儀社が窓口になって紹介してくれることもありますので、仏壇じまいの相談とあわせて聞いてみるのも一つの手です。
手元供養として自宅に置く
特徴
仏壇は手放しても、位牌だけを小さく作り直したり、ミニ仏壇や供養スペースに置いたりして自宅で祀る方法です。「手元に残したいけれど、大きな仏壇は置けない」という方に向いています。
費用の目安
| 種類 | 費用目安 |
|---|---|
| 手元供養品(小さな位牌・骨壺など) | 5千〜3万円程度 |
| 位牌の作り直し(小型化) | 1万〜3万円程度 |
| ミニ仏壇とのセット | 3万〜10万円程度 |
位牌を小型化する場合、古い位牌は閉眼供養(魂抜き)をしてからお焚き上げに出し、新しい位牌に開眼供養(魂入れ)をして移すのが一般的な流れです。
注意点
手元供養は宗教的な義務ではなく、気持ちの問題です。だからこそ自由度が高い反面、「将来この位牌を誰が引き継ぐのか」という宿題は残ります。ご自身のあとを考えると、いずれ永代供養やお焚き上げと組み合わせることになるかもしれません。そこまで見据えて選べると安心ですね。
お焚き上げで供養して手放す
特徴
閉眼供養を済ませたうえで、位牌をお寺や神社で焼いて供養してもらう方法です。「これ以上の管理はできない」「きちんとお見送りして区切りをつけたい」という場合に選ばれます。
費用の目安
| 方法 | 費用目安 |
|---|---|
| お寺・神社でのお焚き上げ | 5千〜2万円程度 |
| 郵送お焚き上げサービス | 3千〜1万円程度 |
最近は、箱に詰めて送るだけの郵送サービスも増えました。遠方で持ち込みがむずかしい場合や、日程の都合がつかない場合でも利用しやすくなっています。供養の証明書を発行してくれる業者を選ぶと、親族への報告もしやすいでしょう。
お焚き上げそのものの流れや依頼先のくわしい比較は、仏壇のお焚き上げとは?費用・手順・依頼先にまとめています。
浄土真宗の場合:位牌ではなく過去帳・法名軸
浄土真宗では「故人の魂が位牌に宿る」という考え方をしません。そのため本来は位牌を作らず、過去帳(先祖の法名や命日を記した帳面)や法名軸(掛け軸)で故人を偲ぶのが正式な形とされています。
とはいえ実際には、地域の慣習などで浄土真宗のご家庭にも位牌があることは珍しくないようです。その場合の手放し方は他宗派とほぼ同じで、お寺にお勤め(浄土真宗では遷座法要などと呼びます)をお願いしてから、お焚き上げや引き取りに出します。
過去帳は位牌と違って「家の記録」の性格が強いものです。仏壇を手放しても過去帳だけは残す、という選び方も広く行われています。判断に迷うときは、所属の寺院に聞いてみるのがいちばん確実でしょう。
位牌を手放すまでの流れ
永代供養でもお焚き上げでも、おおまかな流れは共通しています。
- 1. 親族に方針を伝え、了解を得る
- 2. 依頼先(お寺・霊園・専門業者)を決めて申し込む
- 3. 閉眼供養(魂抜き)を行う
- 4. 位牌を引き渡す(持参・引き取り・郵送)
- 5. 供養の完了報告や証明書を受け取り、親族に共有する
気をつけたいのは1番目です。位牌はご先祖につながるものなので、独断で進めると親族間のしこりになりがちです。「管理を続けるのがむずかしいので、きちんと供養したうえで手放したい」と先に伝えておくだけで、受け止められ方はずいぶん変わります。
3つの選択肢を比較表で整理
| 状況・希望 | 向いている選択肢 |
|---|---|
| 跡継ぎがいない・将来の管理が不安 | 永代供養(合祀) |
| 手元に置いて供養を続けたい | 手元供養 |
| きちんとお見送りして手放したい | お焚き上げ |
| 費用をできるだけ抑えたい | 郵送お焚き上げ |
| 今は決めきれない | お寺への一時預かりを相談 |
迷ったときは「10年後、この位牌の前に手を合わせている人がいるか」を想像してみてください。いる気がするなら手元供養、いない気がするなら永代供養かお焚き上げ。そんな考え方も、ひとつの目安になります。
決めきれないときは一時預かりも
「今は気持ちの整理がつかない」という段階で、無理に結論を出す必要はありません。お寺によっては、位牌を一定期間預かってくれるところがあります。預かり料の目安は年5千〜2万円程度です。
仏壇じまいの期日が迫っているけれど、位牌の行き先だけ決まらない。そんなときは、いったん預けて時間をつくるのも十分にありだと思います。落ち着いてから、永代供養にするか手元に戻すかを考えれば大丈夫ですよ。
余談ですが、こうした「保留」の相談を快く受けてくれるかどうかは、依頼先の姿勢を見極める材料にもなります。急かさずに選ばせてくれるところは、供養の進め方そのものも丁寧なことが多い印象です。判断を急がせる相手なら、少し距離を置いて考え直してもよいかもしれません。
よくある質問
位牌が複数ある場合、まとめてお願いできますか
もちろん可能です。永代供養もお焚き上げも、複数の位牌をまとめて受け付けるのが一般的ですし、繰出位牌に作り替えて一本にまとめてから祀る方法もあります。数が多い場合は仏壇店やお寺に相談してみてください。
手放すまでの間、位牌はどう保管すればいいですか
特別な決まりはありませんが、直射日光や湿気を避けて、白い布や和紙に包んで保管するのが丁寧な扱いとされています。床に直置きせず、棚の上など少し高い場所に置いておくと気持ちの面でも落ち着きますね。
閉眼供養をしないままお焚き上げに出してもいいですか
郵送サービスの多くは、提携寺院での供養込みという形です。申し込み前に「供養も含まれていますか」と確認しておくと確実ですし、菩提寺がある場合は先にそちらへ相談するほうが筋としては丁寧でしょう。
費用は全部でどのくらい見ておけばいいですか
例えば、閉眼供養のお布施1万〜5万円に、位牌の供養先の費用を足した金額が目安になります。お焚き上げなら合計2万〜7万円程度、永代供養(合祀)なら合計4万〜15万円程度を見込んでおくと、大きく外れることは少ないはずです。
仏壇本体の処分費用も同時にかかる場合は、全体で10万〜20万円程度になるご家庭が多いようです。内訳を出してもらい、項目ごとに比べてみてください。
まとめ
仏壇じまい後の位牌は、「誰が将来も供養を続けられるか」を基準に考えると選びやすくなります。
永代供養・手元供養・お焚き上げのいずれを選んでも、故人への敬意を持って進めれば心配はいりません。仏壇本体の手放し方は遺品整理で出た仏壇はどうする?でも解説しています。
位牌のことは、急いで決めるほど後悔が残りやすいものです。この記事の比較表を手がかりに、ご家族と一度ゆっくり話してみてください。まず全体の費用感をつかみたい方は、下のシミュレーターが役に立つはずです。
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